なぜ騒ぐ!似たようなことは昔からどこでもやってる、大分県教員採用不正事件

 大分県小学校教員の採用試験で小学校校長が自分の長男と長女が合格するよう元同僚(小学校教頭)や県教委参事に金券で依頼し、見事合格させた事件で、教育関係者がぞろぞろ逮捕された事件が連日新聞紙上を賑わせている。

 7月8日朝日新聞によると2007年度、最終合格者41人のうち、約半数に口利きがあり、一次と二次の合計合格ライン620点になるように加点し、ひどい例では400点台で合格させた受験者もいたと言う。さらに問題なのは、加点だけでは全体の平均点が高くなって怪しまれるのを避けるために合格ラインを少し上回っていた全うな約10人の受験者の点数を減点する調整を行ったと言う。

 さらに7月8日朝日新聞夕刊では、大分県の小学校の校長1人と教頭2人が、管理職への昇任試験で県教委の幹部に商品券を渡したなどと県警佐伯署に出頭したという。

 日本の教育を管理している教育委員会と校長、教頭連中の実態がこの有様なのである。こいつらは、日頃、愛国心の強制、国旗に対する忠誠、君が代に対する忠誠を教員と生徒に強制する立場にあった人間である。そいつらが、恥知らずにも贈収賄事件を起こすとは。

 この事件の問題点は、以下の2点に要約される。
 その一つは、公務員と言う公的な職業につく権利を私物化したこと。
 二つ目は、教育委員会や校長、教頭といった教育の管理職が腐った存在であることが証明されたことである。

 それでは、第一の問題点について説明する。
 公務員や教員は、働く地域がある程度限定された特殊な職業である。また、民間企業の就職試験は、その時々の景気の影響を非常に受けるものであり、採用が無ければ、受験も出来ない。従って、自分の望む職業に就くことは中々難しい面がある。また、親の面倒をみるために地元思考で就職先を探そうとする者もいる。それが、地方にあっては、適当な就職先も少ない。その時に公務員試験は一つの最適な職業になりうるのである。実際に私も公務員試験を受けたが、約30年位前から公務員試験に合格するためのコネの必要性が言われていた。 

 実際に私の大学の同級生は、「親が県会議員の選挙で逮捕されるまで協力しているので、俺の公務員試験の合格は確実だ。」と豪語して実際に宮崎県庁の上級職試験と教員採用試験に合格している。また、周囲を見渡すと校長の娘の教員一発合格もみている。その他、この手の不正合格、言い方を変えると『コネの必要性』については、嫌と言うほど話を聞いた。

 私のように親が島根から出てきて、貧乏で自転車も買ってもらえなかったような畳職人の息子にコネなんか、あるはずも無いではないか。また、教員の採用試験も厳しい現実があることを私は認識している。今は少子化で教員の採用枠も縮小し、教員を目指す若者の就職の場が縮小している。教員を目指す若者は、学校で臨時講師をしながら、何度も教員採用試験を受けているのである。今回の事件は、コネを持っている人間を合格させるために、こういう苦労している人間の点数を減点した可能性もあるのである。実際に合格ライン以上の人間の減点を行っているのであるから

 公的な職業を金の力で私物化する。これを教育委員会や校長、教頭がやっているのである。多分、県会議員等も絡んでいるだろう。これは、要するに金持ち集団による公的機関の私物化以外の何ものでもない。この事件で最悪なのは、こういう連中は世間的には恵まれた境遇にある、俗に言う「勝ち組」に属する人間である。こういう連中は、多分、生徒やその親に対して、「自己責任論」を強調するのであろう。これについては、後に記述する貧困論で説明する。

 この大分の教員採用試験で明らかになった不正は、私は全国で日常的に行われている制度であると考えている。教員採用試験だけではない。公務員採用試験でも常態化していると思う。しかし、他の県にこの問題が波及することは無いであろう。大分でも採用試験の資料は既に廃棄されているのである。当然、不正を行っている県は、資料を直ちに廃棄しているのであろう。

 田舎に行けば行く程、仕事は少ない。地元に就職するのに公務員の仕事は貴重である。それを金で操る人間がいる。金で独占するのである。貧乏人は、親を捨て、故郷を捨てて都会に出て行くしかないのである。正に勝ち組と負け組みである。当人の力ではなく、親の力で最初から勝負は決まっているのである。政治家は勝ち組とぐるになって利権の確保に躍起になるばかりなのである。負け組みのことを考える政治家なんかほとんどいないのである。

 第二の教育委員会や校長、教頭が如何に腐っているかは、今回の事件を見れば説明は不要であろう。

 そもそも日本の教育行政は、何を根拠に行われているのか。ヤンキー先生、こと義家弘介は、横浜市教育委員や安倍内閣の教育再生会議委員を務めたが、なぜこんな下らない人間がこういう役職に着くのか。これが日本の教育界の現状なのである。ヤンキー先生と言うから少しは世間や弱い人間のことが分かっているかと考えていたら、テレビで貧困者救済について、「なぜやる気の無い人間まで助ける必要がある」と言うような内容の発言をしていた。要するに自己責任論である。財界の論理である。ちょっと前まで自分自身がろくでもない人間だったくせにちょっと出世したら直ぐに弱いものいじめ。こいつは何も分かっていないやつだと思った。なぜ、これ程、私は義家に対して敵意をむき出しにするか。世の困窮者の実態を理解していないからである。自分が勝ち組になった途端に、昔の負け組みの時代のことを忘れる人間は非常に多い。義家もその口である。まあ、なぜ私が異常に怒っているか、次の随筆で説明する。 

 最後に今回の問題は、県会議員等も巻き込んだ事件であり、地方公務員試験全般について全国の自治体で同様のことが現在でも行われていると私は考える。さらに日本は悪弊の自浄能力の無い国であるから、今回の事件は大分だけの問題として片付けられるであろう。そして同様の不正は永久に他の自治体で継続して行われるのである。馬鹿を見るのは、貧乏な一般市民のみ。

 大分県の例を参考にすると、教師の半分はコネを使った不正教師教育委員会、校長、教頭等の子弟が教員になっていたら、それは不正教師公務員の半数も不正職員

 良く考えたら私の義兄も教員だった。どうなんだろう!

(2008年7月10日 記)

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